以前とある書評で、トラウマの歴史の意義の一つに、同時代の中では自分と同様の体験者を見つけにくい当事者にとって、歴史の中にピア(仲間)を発見する可能性を持つかもしれないということを書いたことがあるけれども、Lambeや同論文で参照されているジャーナリストのAnne Thériaultがいうような、同じ困難に直面した時の「道しるべ」としてのmad ancestorsを歴史の中に見出すという話はつながりがありそう。
Thériaultはシルヴィア・プラスやジョージ3世などの著名な人物を例にあげているけれども、私は社会史でそれをやりたいなと思っている。
ただしThériaultは、mad ancestorsを探すことは、現代人が精神疾患を理解する方法をそのまま過去にあてはめてしまう非歴史的なアプローチにつながる問題があることも指摘している。
thecorrespondent.com/570/knowi
こうした陥穽に陥らないように、アーカイブの情報源と現在の私たちの認識の間の非整合性や矛盾を認識することが重要だ。

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最後の指摘は以下の論文を参照。
Andrew Israel Ross, “Sex in
the Archives: Homosexuality,
Prostitution, and the Archives de
la Préfecture de Police de Paris,”
French Historical Studies 40, no.
2 (2017): 267–90.

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