映画『八犬伝』を見た。
虚と実をテーマに滝沢馬琴が葛飾北斎に八犬伝の話を聞かせる形で進んでいく物語で、創作を生業にしている人にはなかなか面白かったんじゃないかと思う。まぁ、生業にしていない私も面白いと思ったけど。

八犬伝のパートは見せ場だけ集めたハイライト集みたいになっていたけど、この映画はあくまでも馬琴の後半生を語る作品だから仕方がないね。その代わりか、映画館の大きなスクリーンで見てこそというアクションシーンばかりだった。八犬伝パートで不満なのは、全員月代を剃っていなかったこと。ファンタジーであることを強調したかったのかもしれないけど、なんか安っぽい特撮作品みたいに見えちゃって残念だったわ。

馬琴パートは、鶴屋南北との会話のシーンが良かった。ほんの数分のためにちゃんと歌舞伎役者を呼んで忠臣蔵+四谷怪談をやってたし。もし滝沢馬琴役が役所広司でなかったら、結構ぐだぐだな作品になっていたかもと思わなくもない。

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しかし、八犬伝のパートも馬琴のパートも見事に男のためのお話だったねぇ。女性は男性に尽くすか、いわゆる悪女となるかのどちらかで。八犬伝がそうなのは江戸時代に書かれた話だから仕方がないとしても、馬琴と彼の周囲の人々についてはもうちょい女性の描き方を工夫してほしかったな。それでも前述通り十分面白かったけどね。
未見の方はぜひ映画館でどうぞ。

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