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先日の椿山荘と、今日の蕎麦。気づけばまた忙しい時期に突入している。

都知事選、バス停には石丸氏の選挙カー。私は、奨学金の保証人になってくれた台湾の叔父の姓が謝というので、蓮舫に投票するぞと思っていましたが、よく考えたら都民ではなく埼玉県民でした。

落ち着いて雨の日のバラを見る。

クロ現「女性はなぜ地方流出するか」番組内で「東京が令和なら地方は江戸」というコメントをFBで取り上げた女性のコメント欄に、地方は刺激が少ないから〜などの「共感してます」的な男性コメントが並んでいるところに闇の深さを見る。

地方を去る女性たち・・・ なぜ地元に戻らない?女性流出 本音を聞いてみた - クローズアップ現代 取材ノート - NHK みんなでプラス
nhk.or.jp/minplus/0121/topic10

番組はジェンダーロールの押しつけ、ジェンダーギャップの問題をど真ん中に取り上げているのだが、見る側が違うと解釈がこれだけ変わるという案件です。

無邪気で好意的なほうが対処が難しい。

先住民目線で語る、Mrs. Green AppleのMV「コロンブス」問題
yuroksmomlife.com/mrs-green-ap

色々出てくる批評、批判の中で飛び抜けて説得的なのが出てきた。なお私は削除前にMVを見ましたが、声はいいのにノリが自分とは全く合わないなというところにばかり目が行って、こんなに細かく問題点を発見できてませんでした。

で、このテキスト勉強になるのはもちろんのこと、当事者ポジション取ってからの論理で穏やかに詰めていくのが、もううまい!としか思えません。私も当事者ポジションで語る時は、攻撃力をきちんと調整したいと思うのでした。

ともあれ、あのやばいMVがそこまで丁寧に地雷を踏み抜いたものだとすれば、狙ってやったという見方は現実味がある…アーティストではなく作り手の方でしょうね。しかし、ならば逆になぜ?と問いたい。悪意を込めたなどという単純な意志ではなく、敢えての逆張りだろうか。

コカコーラ社の弁明が意味不明というのも含めて…何かが噛み合ってない印象ですね。

無知の方が救いはないと思うが、意図的であったとしてもこれはこれでしんどい案件でした。

それはそうと、メトロイドバニアの名作「Hollow Knight」の続編「Silk Song」が待ち遠しくて、原稿の合間にちょくちょくやりなおしていたホロウナイトですが、超絶アスレチックコースとして知られる「白い宮殿」を久しぶりにクリアしました。2018年にやったやつだから、6年ぶりか。

オーストラリアのチームが作っているゲームです。なかなかの難易度です。

鈴木史朗がいい年してバイオハザードがうまいという話がありまして、ああ何歳になってもこういうのが上手になるっていうことはあるんだ、という気持ちでクリアしたのが6年前。
cinematoday.jp/page/A0005339

この年になると「何かが上達する」ということへの期待ってあんまりなくて、どうせやってもな、と思っていたりしたのですが、ホロウナイトを通じて「うん、まだ大丈夫なようだ」ということを今月も確認しました。免許返納はまだまだ先でよし。

ちなみに、群馬が元々「くるまの国」とはどういうことか、ですが、それは私は知りません。が、木簡にも出てくる表記として知られています。以下、木簡データベースから、藤原宮出土「上毛野国車評」。便利になったものだ。
mokkanko.nabunken.go.jp/ja/6AJ

「○あゆかは 愛甲(相郡) 阿由加波(アユカハ) 甲(カフ)ヲカハニ用ヒタリ。愛(アユ)ノコトハ下ニ出」と。なおこの項目は何を言っているのかというと、「甲」はもともと唇内入声韻尾といってカフという字音でして、その音の聴覚印象に「川(カハ)」を寄せてこの表記を作り出したということです。愛甲(アイカフ)←鮎川(アユカハ)ということ。

「くるま(kuruma)の国」に「群馬(gunma)」を当てるも概ねこの方式で、ruとnuがギリギリ似ていることに寄せているわけですが、カハをカフに寄せるか!と漢字音研究をしていても意外な印象が拭えません。「あたご」を「愛宕(aitang≒アタグ)に寄せるのよりも、かなり距離があると感じられるのは何でだろう…

『地名字音転用例』には群馬の「おはらぎ」を「邑楽郡(おうら<オフラ)」に寄せたというのもあるから、いいのか…。「あまみ」を「奄美(ammi≒アムミ)」に寄せるくらいだからな。u-aはいいのか。

ちなみに今野真二さんがエッセイでこれに触れているが、宣長や好字二字令には触れていらっしゃらない。(2/2)

神奈川県の「愛甲郡」はもと「鮎川(あゆかは)」だった、という説を本居宣長の『字音仮名用格』(PDFの31枚目)で見た。
dglb01.ninjal.ac.jp/ninjaldl/b

「相模ノ郡名愛甲ハ阿由加波(アユカハ)」とある。これはどうやら『和名類聚抄』のことを差しているらしい。二十巻本で見てみると、なるほど次のリンクの通り。dl.ndl.go.jp/pid/2544218/1/15

界隈ではお馴染みの和銅6年「好字二字令」によって、それまで万葉仮名で統一感のない表記だった地名を唐にならって2文字にしてしまえということで、スルガが「駿河」アマミが「奄美」シタラが「設楽」と表記されるようになったという案件でした。…とこのあたりは宣長の『地名字音転用例』でもまとめられていることで、見てみると思い切りこっちで論じてました。archive.wul.waseda.ac.jp/kosho
(1/2)

山形の「ずんだ餅」の語源が「豆を打つ」から「豆ん打」という話は、語源俗解・民俗語源だと思われます。日国では糠味噌を意味する近世期の「糂汰(じんだ)」からの転義と考えていて、そちらのほうが語源としての蓋然性は高いでしょう。枝豆や大豆をすり潰して和え物にしたものを「じんだ」と呼ぶのは、富山にも岐阜にも比較的広域に存在しています。それが東北のいわゆるズーズー弁地域で「ずんだ」に変化したと考えるべきで、「豆(ず)」が語源とはほとんど考えにくいです。

もっとも、豆屋さんが語源を豆の音読みに結びつけて理解するのも自然な話で、それはそれとして面白いと思います。

reallocal.jp/114128

注文していた梅3kgが届いたので、梅干しの下ごしらえを。今年で四回目。昨年から注文するようになった梅がしっかりしているので、できあがりもかなり良い。

うちは18%の塩分で作っています。

まあ、つって教員を巡る待遇の悪さは何も解決していないし、見ようによってはこういうのが感情労働を強いている、というのはあるかもだが、私自身はこういうのが社会を下支えしていると心から信じてる。効率とか競争とかそういうのとは無関係に、この社会に必要なものはあるよ。教育は福祉でいいんじゃん。

やばい、これは涙が止まらん。

「超客観的基礎ラブロマンス概論」
tonarinoyj.jp/episode/25506897

今日のお遊び2。西武遊園地のバラと智光山公園のバラは、西武遊園地の方が手入れは行き届いていたが時期遅れだった。残念。

かつてWindowsで使っていた電子版の大漢和辞典をMacでも使いたい。しかし使うことはできません。

人文系研究者でMacユーザは少なからずいると思うんですが、どうでしょうかね。一太郎というソフトもWin版しかないのは、そもそも一太郎自体のユーザが少なく、今後はロストテクノロジー化していくだろうから、開発コストに合わないだろうというのはあるけれど。

大漢和辞典を購入するのはそもそもコアなユーザなわけで、かつ人文系研究者はこれからも大漢和を使い続けていくだろうことからして、Macユーザにもそのコア層がそれなりにいることからすると、Mac版を開発していただいてもいいのではないかと思われますがどうでしょうか。

という話を大修館書店のかたにしてみた。さて、どうなりますか。

紙版持っているからいいといえばいいんですけど!語彙検索までできるというアップデートをしていただけるのであれば、他のOSにももう少し目を向けていただけますと幸いに存じます。マジで。

録画していた「光る君へ」を見た。越前で藤原為時が中国語でドタバタするお話。いつもは歴史学クラスタ、文学クラスタ、日本語学クラスタが騒いでおりますが、この話では中国語教育学クラスタ、中医学クラスタが騒ぐことだと思われます。まことに賑やかで喜ばしく思います。

私は修士論文を、平安後期の医学書『医心方』の漢字音で書きましたことと、配偶者が鍼灸師の資格を持つということで、日本語学クラスタでありながら中医学に右足の小指だけが入っているくらいのクラスタであります。舌診、脈診をきちんとするのでこれも喜ばしく思ったことでした。最近のスポーツ針で育った若い鍼灸師はそういうことしないですからね!

松原客館でのくだりは、もうちょっと前の時代(9世紀)だと渤海からの使節団がやってきたということが知られる。そこで、国守が本当に中国語ができたのかだが、少なくとも漢詩の応酬があったということで、コミュニケーションが取れた部分もあったとは、湯沢質幸『古代日本人と外国語 東アジア異文化交流の言語世界』に書いてあります。「光る君へ」で宋人に漢詩を披露するシーンは、そんなことを思い出したのでした。

長らく使ってきたコーヒーメーカーが壊れた。新しく購入するか一瞬考えたけれど、場所を取り過ぎるので、かつて職場でやっていたようにケトルからでいいかと思って、先月からケトルでドリップしている。

それで…結論、コーヒーが各段に美味しくなった。ただ沸騰したてで注ぐというだけのことだが、お湯の温度がここまで効いてくるのかと思う。先日、ライトローストはあまり美味しくないとか、スタバの豆は苦いだけみたいなディスりかたをしたが、この方式で入れると不思議ときちんと美味しくなる。いや、不思議じゃなくて単にこれまでやり方が間違っていただけということでしょうけれど…。罪のない豆には心よりお詫び申し上げたいと思います。

あんまし技術的なことは調べてないです。が、スタバの豆は苦みの奥にある爽やかな酸味とか香りが出てきて、スタバで飲むコーヒーよりずっと美味しく感じられる。ライトローストのほうは、これは豆によるんでしょうけれどある種の穀物臭が奥へ消えて好きな香りだけが前景化する。気のせい…ではないと思います。

昔非常勤先のコーヒー好きのおじさま先生が、①沸騰したてのお湯を使え、②できるだけゆっくり一滴ずつ垂らすように湯を入れろ、この2つだけを強調していたが、まさにこれだけを実践している。ほんとに美味しくなるものですね。

先ほど紹介したサイトはデータセットの配布や解説を行っている公式サイトですが、簡易検索を可能としたスピンアウト的なサイトがすでにあります。ちょっと使ってみるなら、こちらがよいでしょう。

伽藍よりバザールの思想で若いうちは育ってきたので、2次配付データを使って技術力のある人が楽しいものを作ってくださることを嬉しく思っています。著作権はCC-BYでやってます。

資料横断的な漢字音・漢語音データベース
dhsjr.kojisho.com/

5年間かけて育ててきた「資料横断的な漢字音・漢語音データベース」を正式リリースしました。

Database of Historical Sino-Japanese Readings | 資料横断的な漢字音・漢語音データベース
dhsjr.w.waseda.jp/

昨日の学会でワークショップ形式で活用事例も含めての紹介となりました。ジャパンナレッジなどで知られる日本国語大辞典、日本語歴史コーパスは和文系資料からデータが取られているので、漢字・漢文が弱いということが知られています。日本語形態素解析辞書であるUniDicも同様です。一方、中国では四庫全書に漢籍資料、東京大学史料編纂所では記録文などの日本漢文がネット上には早くから公開されています。しかしそれが日本語としてどう発音されたのか、については調べる手立てが非常に貧弱でした。

上記のデータベースは平安時代から昭和までの56の文献に現れる漢字・漢語のうち、読みが明らかなものを全て検索可能にしたもので約27万件のデータを含みます。例えば古代の漢文資料に「言語」という漢語が出てきたときに、これはゴンゴなのかゲンギョなのか、ゲンゴなのか。声調はどうなのか。どの資料ではどうで、あの資料ではどうなのか。こうしたことに答えられるデータベースです。

湯沢質幸『日本人は漢文をどう読んだか』勉誠社を読んでいます。「光る君へ」で藤原為時が①漢詩を直読で読んだこと、②現代中国語で発音したことを問題視したことですが、本質的には①が大事だと思い直しました。で、いまそれは横に置いておいて、②に奇妙な違和感を持つというのは私を含め、多くの人の反応で、Twitterなどでもそんな率直な感想が乱舞しています。

しかしよく考えてみると、登場人物が話す日本語は常に現代日本語の発音なんですね。我々視聴者は10世紀の京都にいる気持ちになって見ているわけですから、それで問題がない。いわば自動翻訳を間に挟んで「ドラマ的現実」を見ている。そうであれば、当時の漢詩はニアリーイコールで当時の現代中国語なのだから、現代北京語で為時が読み上げてもおかしくないはず。

じゃあ枕草子の紹介パートは「春は朝がやばい」と発音していたかというと、そうでもないところにアンバランスさがあります。さすがに日本人の頭に刻まれているフレーズをそこまで噛み砕くことは演出上できなかったのでしょうね。

視聴者>ドラマ世界>ドラマ世界で扱われる作品、という三重構造を古典語/現代語でどう演出するか、なかなか興味深い話題と思いました。

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