読了 ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ/若きウェルテルの悩み
ゲーテって音や抑揚が気持ちよくてヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテって言いたく(書きたく)なる。
本作は知識としては知っていたけど実際に読んだことはなかった。
ついに読んだ、という感じ。
金言が散りばめられていた…。
とんでもなく情熱的だけど厭世的な雰囲気もあるウェルテルが友人のウィルヘルムに宛てた手紙を読んでいくという、書簡方式の作品。
お菓子会社のロッテの由来にもなったシャルロッテと出会うのだが、これが彼に衝撃を与える。
当時のヨーロッパはゴリゴリのキリスト教世界。
その禁忌でもある不貞と自殺を遂げてしまうウェルテル。
これは時代を考えればかなり衝撃的な作品で、発禁になったのも頷けるかなと思った。
ウェルテル効果なんて言葉が現代でもあるくらいだし。
現代で考えると凄く怖いし迷惑な人なウェルテルくん。
婚約者がいる人に惚れる、情熱を燃やす、叶わぬ恋と悟り自殺を考える、最期だからという勝手な理由で人妻にキス、彼女が触った銃に恍惚としながら恋文をしたため自殺。ヒエッ
ロッテも結構危うい橋を渡っていたのでなんとも言えないけども。
再読したいな。
読む度発見がありそう。
読了 村田沙耶香/タダイマトビラ
家庭崩壊を起こした家で育つ主人公の少女。
しかし家族欲だけは発生する。
そこでカーテンにニナオと名付けカゾクヨナニーをする日々。
このネーミングセンスはすごい的を射ていて面白いなと思った。
誰とも結婚せず、瓶の中に蟻のアリスを飼う女性と知り合う。
彼女は蟻が死んだら違う蟻を探してきてずっと飼っているのだ。
そう、死んだら入れ替えるだけ、その繰り返し。
この女性のやっていることや彼女の存在が不気味だった。
主人公は本当の家族を欲するようになっていき年上の恋人ができた時に、やっとそれが叶いそうになる。
しかしある時彼が自分を使ってカゾクヨナニーをしていると気付き崩壊していく。
ラストの怒涛の崩壊劇は凄まじいものがあるけど、実はそちらが正しかった…?と思わせるような雰囲気もあった。
謎の訪問者、父親と弟の顛末から考えると元恋人がやって来たのかと思ったけど、どうなんだろうか。
様々な形であれ、多くの人にとっては当たり前にある家族。
その在り方や価値観など、根源的なものを一度ぶち壊してくれる作品だったと思う。
家族とは?人間とは?社会生活とは?社会とは?
読了 村田沙耶香/ギンイロノウタ(人によっては若干の性的描写ありかも)
ひかりのあしおと
"ビジイテチンノンヨチイクン"
とーっても愛情深い女性が現れたな。
リカとかとはまた違った愛情のベクトルでいい感じに狂気が滲み出ていた。
母親もいろんな意味でいいキャラクターだった。
ギンイロノウタ
歪んだ家庭と歪んだ成長をして行く少女の話なんだろうけど、少女の歪みは本当に歪みなのか、正常な周りが歪んでいるのか…。
指示棒がその対象になっていく過程は童女ながら恐ろしいな、という気がしないでもないけどこの時期だからこそ所謂普通の物とは違うものに性的関心が向くこともあるのかもしれない。
神戸のあの人とか、佐世保のあの人とか普通とは違うものに対して強烈な性的関心・知的関心を持ってしまったがゆえに、とんでもない事件を起こした人達もいるのは間違いないことで。
そう考えればこの少女が魔法のステッキ代わりの指示棒に執着しても不思議はないのか。
文学的要素が強かったように思った。
「地球星人」最高に良かったな。
感想書こうと思ったけど書きたいことがいっぱいあり過ぎてうまく纏められなかった
地球星人、ポハピピンポボピア星人、工場、巣、匹、生産、と独特な世界観や価値観、考え方があって良かった。
"常識"を違う視点から見ると全く違うものが現れる。
カニバリズムにまで発展するとは思ってなかったけど、ポハピピンポボピア星人の彼らからすれば地球星人もまた家畜や動物と一緒なのか。
強烈な1冊だった。
Kindle Paperwhiteだととても使いにくいハイライト機能を久し振りにいっぱい使った。(本にマーカー引く機能)
村田沙耶香の「地球星人」、前半から凄く好き!
この子の感覚鋭くて、的確でいい!
今村夏子作品2冊読んでの感想
今村夏子/あひる
今村夏子/木になった亜沙
読了。
「あひる」はあらすじから想像したよりもまとも(まともとは?)な家族だった。
他2篇は色々と繋がってるのかな?何か意図があるのかしら?と探りたくなるような内容だった。
木になった亜沙は3篇とも現実と非現実の境目が上手いことあいまいに描かれているので、すごく不思議な読書体験だった。
どう考えてもファンタジーというか非現実的なのことが起こり始めるんだけど、不思議とスルッと受け入れて読み進めてしまえた。
どれもちょっと悲しい、切ない、可哀想な物語ではあった。
嬉しかったのが解説を村田沙耶香氏が書いていたこと!
今村作品と村田作品の世界観が似ていて、村田作品が好きだったからこそ今村作品にハマれたというフシがある。
そんな勝手に縁を感じていて大好きな村田沙耶香が担当していてワクワクしてしまった。
読了 今村夏子/父と私の桜尾通り商店街
短編集。
お腹いっぱい!
日常生活でいそうなズレた人を描くのが本当に上手い。
表面的に付き合う分にはちょっと変わった人、で済むのだがその人の生活を追っていくと異常さが浮き上がってくる。
それは異常なまでの執着だったり鈍さであったりひたむきさであったりする。
「ピクニック」と同様の設定の話があり、彼女等がとった行動の意味が最初はなかなか理解できなかったのだが、何かに酷似してる気がするなあ、と引っかかっていた。
あ、死に化粧とか棺桶におさめる時の儀式的な雰囲気だ!と気付いたら、より不気味さが際立った気がした。
表題作は最初、主人公は小学生かと思っていたら子供がいてもおかしくない年齢に達した女性だったことを知る。
閉じた世界で、時間も半ば止まったような感じで生活していたのだろうか、と想像した。
とあることがきっかけで、彼女の周りは動き出すのだがその動き出したと彼女の労力の掛け方の方向性が的外れで、彼女の狂気が吹き出していく。
グサッと来るのではなく、チクチクした痛みがずっとあるような読後感だった。
最高すぎる。
読了 今村夏子/こちらあみ子
表題作は虐待といってもいい家庭環境ではなかろうか?と思うものだった。
ネグレクトに近いというか、この状態の娘を病院に連れて行かないことがそもそも虐待に近いかなと思ってしまった。
それ故に学校ではいじめられ、母は再起不能になってしまう。
産まれてくるはずだった赤ちゃんの、あみ子にとっては弟妹の性別すら教えられず、母が入院していたことも知らされなかった。
挙句に引っ越しもあみ子一人が祖母の家に行くという、ある種の厄介払いのような形。
あみ子自身が(その特性ゆえ?)なにも感じていないのが痛々しい。
「ピクニック」に関しては、ほーんふーん変な人だな と読んでいたが途中から あ…これもしかして一番怖いやつだ!という考えに至った。
黒か白かというと真っ黒というのが個人的に感じたことなのだが読み手によっては美談というかいい話、後輩想いの優しい先輩たちという話になりそう。
腹黒く思えた新人ちゃんがある意味では彼女たちの行いを暴露する立場になっており、実は一番いい子だった。
「チズさん」に関しては難しい!
主人公の 私 を男と考えるとチズさんの道中の みきお 言動や最後の表情の変化に説明が付きそうだが。うーん…。
お帰り、Kaweco!
ペン先調整を以来していたKaweco BRASS sportの金ペンが帰ってきた
インクフローが潤沢になってヌラヌラ!!
引っ掛かりも見事になくなった
メールも梱包も凄く丁寧でひとつひとつ確認してくれた。
箱や同梱物も一緒に送っていて、純正のインクカートリッジを使って試筆等した、ということだったのだが、新しく1本純正カートリッジを同梱してくれてた
なによりびっくりしたのが予定より大変な工程になったはずなのに、当初の見積もりと同じ金額だったこと
送料込みで2千円行かないって…どうして商売成り立ってるんだ。
こちらとしては有り難い限りだけど、凄いなと。
引き続き大切に使っていこう
双極性障害(うつ型)とパニック障害、腰椎椎間板ヘルニアで闘病中の男です。
読書が趣味です。
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