「第4章 越境するジェンダー」は当初は書かれる予定がなかったテーマで、しかしアンケート結果を見て追加された章だという。
実施した在日ウズベキスタン人、在韓ウズベキスタン人へのアンケートの回答者の8割は男性だった。その理由は:海外出稼ぎの、男を上げて故郷に錦を飾る修行としてのイメージ。家長や地域の権力者の許可を得なければ女性は出国できない。女性の結婚適齢期が20-24歳である、海外行きは誘惑や事件に巻き込まれて貞操を失う危険があると考えられるから。
実際、共著者のムカッダム氏が大使館で開催された在日ウズベキスタン人会のイベントに行ったら40人中女性は彼女ひとりで、大使館関係の女性数人は男性たちの会話の輪とは分かれてしゃべっていたという。
しかし匿名のアンケート回答者の中には、来日した後にウズベキスタン人男性あるいは日本人男性と離婚し、日本でひとりで生きていくことにした女性もちらほらとはいる。同性愛者の女性が、ウズベキスタンはよりひどい状況なので帰国しないという話をしてもいる。
「ウズベクらしさ」というアイデンティティは、集団の協調を大事にして年長者のいうことを尊び、よく道徳を守り、「行間を読む力」で集団の和を保つこと等らしい。
このへんは東アジアの儒教と似ているように思いました。(「行間を読む力」という概念の単語の登場にちょっと苦笑してしまいました)