名著136「偶然性・アイロニー・連帯」 - 100分de名著 - NHK https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/blog/bl/pEwB9LAbAN/bp/poVnBqWgLo/
“近代哲学が生み出した「基礎づけ主義」による悪弊は、旧ユーゴにおける民族浄化やルワンダ内戦における虐殺など、さまざまな事象に影響することがありうるという。「理性をもつ存在こそ人間」という近代哲学のロジックは、容易く「西欧近代が基礎づけた理性をもたなければそれは人間ではない」というロジックにすり替えられていく。このことがまかり通ると、ヘイトスピーチや虐殺が簡単に正当化されてしまうとローティは警告するのだ。ローティは、今後の哲学者の役割は、「真理探究」のような大仰なものではなく、歪んでしまった「語り」や「言説」に対して、「治療的」に働きかけることだと訴える。それは、哲学を、社会に開かれたものにしていくローティの戦略でもある。”