というのも、実際その頃イスラエルの研究者たちが、女性選手にとって、競技の前のセックスは、オルガスムがモチベーションと勝利への意欲を高めるため、よい効果をもたらすということを論証したからである。そんなことを耳にするたび私は、かつて読んだクルト・トホルスキーの文章が頭に浮かんでくる。正確には覚えていないが、それはおよそ次のような文章であった。「その行為はよく知られており、生理的に説明可能であり、せいぜい数分間しか持続しないものだが、にもかかわらず世界全体をすっかりおかしくしてしまう」。
『ベッケンバウアー自伝 「皇帝(カイザー)」と呼ばれた男』フランツ・ベッケンバウアー著、沼尻正之訳、2006年、中央公論新社。ISBN4-12-003732-0、
187-188頁。