フィルマークスの感想をベタ貼りするならマストドンの方が圧倒的に楽だな。140字だと一個のツイート内で完結してないと変だからどこで段落分けるかとか余計な推敲が発生するしツリーも長くなって全部を見てもらえなくなる。
ただ『アンダー・ザ・シルバーレイク』でも描かれていたようなモラトリアムにあるアーティストの卵たちの描き方とこの題材を混ぜる時のバランスがちょっと良くなかったかもしれない。セーラ(サラ)が彼らを見下しているというかむしろ逆に感じた。「無理に頑張っちゃって」みたいな。だからこそ「身体を売った」という行為に対して同情が一切なく誹りのネタにしかなっていない。この設定が「蹴落としあう女たち」的なステレオタイプになってしまっている部分もあるので何らかのチューニングが欲しかった。
また後半の意味のないヌーディティも気になる。この題材を撮るならそういうところにも配慮すべき。こういうので一気に信用ならなくなるからな……。
エンドクレジットのKick Starter(たしかクラファンサイト)、Edited by Final Cut Pro X、More visit なんちゃらStarryEyes.comとかの表記から結構ガッツリインディペンデント映画なんだと思うけど、にしてはかなり完成度高いし作り込みもすごいと思う。
好意的に見るなら2014年公開の映画でネオン・デーモン、SHE SAID、アシスタントとかより先にこの題材で映画作ってるという点は評価できる。ハリウッドに巣食う女性搾取のメカニズムを悪魔信仰になぞらえ、そこに取り込まれていく一人の女性の身体的・精神的苦痛をゾンビ化として描くという手法は大変理に適っている。ハリウッドという巨大な傘の下でポロポロと落ちてくる食べ残しを漁るように女性を搾取しているあのフーターズの偽物みたいな店の店長。ああいう存在が開き直ってさもセーフティーネットであるかのように振る舞う様は恐ろしい。主人公の性格が悪いとする感想がかなりあるみたいだけど同じ映画を見てるとは思えない。役を取っただのジョークだのと軽口叩いてるあの女性の方のことを言うならまだわかるけど。
セーラ 少女のめざめ/セーラ 少女覚醒
タイトルの出し方とフォントで良い予感。『ヴァチカンのエクソシスト』が記憶に新しいアレックス・エッソー(この時はアレクサンドラ・エッソー表記)が主演。ゴアはなかなかでただグロいわけでもなく「どこを傷つけるのか」にもちょっと気を配っている感じ。中盤までは若干音楽うるさかったけど後半では抑えてあって良かった。おでこツン→オーディション会場やダンベルを持つ→すでにベッドの上で跨っているなど編集も光っていた。原題のStarry Eyesはあのギラギラと光って睨みつけてくるような照明と羨望の眼差しを向けられるような華やかな世界の両方をそう表現したのかな。
お早よう ニューデジタルリマスター
本当に撮影はすごいけど価値観は時代なりなのでキツい。当たり前のように「女の腐ったような」とか飛び出すし「陰口」が伝播していく様子の撮り方は悪質。当時おならをギャグにすることがどれくらい尖っていたのか知らないけど今見るとこれもキツい。
ドッグ・イート・ドッグ
近年余計なことばっか言って晩節を汚しまくってるポール・シュレイダー。こんな映画作るくらいだから頭凝り固まったままってことくらい自覚してほしい。冒頭から気色悪過ぎて「こいつを憎めないやつとしてこれから描いていくつもりなのか……?」と疑っていたら本当にそうだったのであきれた。あと『カード・カウンター』でもそうだったけどこいつのアジア系蔑視表現はなんでこんなにムカつくんだろう。本人が「わかってる」演出として入れてそうなところが余計にタチが悪い。有色人種も白人のおもちゃとしてしか扱ってないし。ラストなんで「素敵」とか言ってる人がいるのかてんでわからない。ニコケイが巻き込んでなければあの夫妻死んでないだろ。
そういうところを置いといたとしてもこれはスコセッシの作るクライム映画の劣化版って感じでなんか可哀想になってくる。あんたはどうあがいてもスコセッシにはなれないよ。一番痛々しいのが監督本人出演のシーンで演技下手だわ呂律回ってないわで見てられない。
撮影、編集、変なエフェクトとかは別に嫌いじゃないけどやはり根っこのところがダメだなと思う。
Audon で部屋を作りました!
参加用リンク: https://audon.space/u/@Jura49_89@fedibird.com
タイトル: やってみます
雑談
バービーの感想、やたらバイナリーなものが目立つ(「男が見るべき」「女性も男性も」など)けどやっぱりその辺で止まっちゃってる映画なんだろうか。マーゴット・ロビーもなんかのインタビューで「女性も男性も」っていう言い回ししてたと思うし、トランス女性も出演してるのになんでそうなるのか不思議。