クライムズ・オブ・ザ・フューチャー
ここまでやられると別に理解できなかったこちら側も悪くなくない?ってなる。作品内の倫理観が意味不明過ぎて子どもの死体解体ショーは見に来るくせに内臓にタトゥーしてあったら「なんてことだ!」みたいなリアクションしててどういう基準?ってなる。どこかのシーンでハエが飛ぶ音を入れてたのはお茶目な『ザ・フライ』匂わせなんだろうか。「ほら一貫してるでしょ?」ってみたいな感じでやられてもなあ……。
またボディホラー方面のビジュアルとバイオレンス方面のヴィゴ・モーテンセンがついに邂逅したのは面白いけどレア・セドゥ、クリステン・スチュワートとの年齢差がキショい。男性→女性への客体化をひっくり返していると言えるかもしれないけどクリステン・スチュワートが迫るシーンは男性の願望を肥大化させただけとも言えると思う。ヌードになるのも明らかに女性が多いし。年齢差がなければミラーリングになると思うんだけど性別だけ入れ替えてもあんまり機能してない気がする。あとクローネンバーグの描く未来に東アジア系はいない。
監督なりに環境問題に思うところあって産廃食べて生きる人を出したんだとは思う。汚染水垂れ流す連中に見せたい。ただどうしてもギャグ的にしか捉えられない演出もあって「ブレックファスター・チェア」がどう見ても食事を邪魔してるようにしか見えないとか色々笑ってしまった。
しかし良いと思ったところもあって、それはナディア・リッツとタナヤ・ビーティーによる女性◯◯◯二人組が生まれていたこと。ネタバレになるので伏せるけどあの二人で一本作ってもいいんじゃないかと思うくらい良かった。絶妙な温度感だったと思う。
音楽で言うとハワード・ショアの劇伴は良かったけど何度も同じ曲が流れると眠くなる。耳男が踊るシーンの曲も厳つくて良かった。