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クイズ:どちらが本物でしょう?(両方とも本物の可能性あり)

クイズ:どちらが本物でしょう?(両方とも本物の可能性あり)

テクストとしては短いけど永遠に長く、自分の精神を形成しているような作品群。の、一部。

ジュネ「判決」
ツェラン「山中の対話」
バタイユ「ハレルヤ」
ブランショ「私の死の瞬間」
エドモン・ジャベス「語の記憶」
メルヴィル「バートルビー」

中原中也の英訳、アメリカの研究者が挑む 「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」どう訳す?║好書好日
book.asahi.com/article/1543233

だいたい毎日お味噌汁かサラダは作っているけど、両親ふくめ粉末のだしって一度も使ったことがない……。かならずかつお節と昆布(築地は吹田商店の日高昆布)でだしを取っています。

「そう、わたしはかの地に出かけ、わたしが十三年いた土地に滞在した。かの地で、わたしは、あの頃とおなじ自分だった、というのも、方向感覚がおなじだったのだ。川、街道から乗り入れる道、森は左、まっすぐ、右手。すべては変わっていたのに、方向は残っていた。経過したのは数十年ではなく、数百年のようだった。そしてわたしは、あの松がおなじものか、それとも新しい世代の松が成長したのか、たいして気にかけもしなかった。」――チェスワフ・ミウォシュ「かの地」

ZINEの作業のために既読の作品を数十作(詩集や短篇が中心ですが)、集中的に読み直すということを生まれてはじめて行っています。作品を十数年ぶりに再読するというのはかつて旅行したことのある土地を再訪するようで、奇妙に抒情的な感覚にとらわれます。以前意識した記憶のない細部に注目したり、「ああ、この感じ!」と思わず口元をほころばせたり、ほんとうに不思議な体験です。

【困った、困った】ZINEの原稿、10月上旬にはおおかた揃う見込みなのですが、校正を引き受けてもらえそうな知人がひとりくらいしか浮かびません。そして、制作費という観点からは、賃金を払って校正者を募るほどの余裕はありません…。数ページの記事からでも、誤字やてにをはの誤りを軽くでもみてくださる方がいるとだいぶ違うのですが。そもそもほかのサークルさんはどうされているのだろう…?(>_<)

牛のモー将軍とか、不思議の国に迷い込んでしまった金田一耕助とか青ずきんとか、ゆるいキャラを登場させることで知られる田口犬男という詩人がいます。氏が書いているのは、幕末までの日本には「絶望」ということばがなかったために、武士たちは「困った、困った」と言いながら天下を右往左往していたとのことです。「どことなく鷹揚で、ユーモラスではないでしょうか」。そして詩人は、「絶望した」の代わりに「困った、困った」を使えばいいのだ、と微笑してみせます。ことSNSの時代には、euphemismはしっかりとスポンジになってくれるのかもしれません。

韓国のアーティストのイ・ブル、日本では大きな個展は2012年の六本木で行われただけ(?)のようだけど、アメリカ、ヨーロッパでは大きい展覧会がかなり開かれているもよう。

英語版MONKEYの巻末のアンケート(エッセイ、猿からの質問みたいなやつ)を見ても、Fifty Sounds(一応通読しています)を読んでも、Polly Bartonさんの文章の抽象度、形而上学性は際立っている気がします……。大学ではヴィトゲンシュタインを学んでいたという。

いわゆるオールタイムベストを択ぶとはどのような営みなのか、以前考えて書いた比較的長いエッセイがありますので、興味をお持ちの方はここからご覧ください。

air-tale.hateblo.jp/entry/2023

SFマガジンオールタイムベストアンケート、投票してみました。

海外長編
1.ケイト・ウィルヘルム『杜松の時』
2.スタニスワフ・レム「完全な真空」
3.マイクル・ビショップ『時の他に敵なし』
4.アンナ・カヴァン『氷』
5.ロバート・シルヴァーバーグ『夜の翼』

国内長編
1.時里二郎『名井島』
2.大江健三郎『同時代ゲーム』
3.山尾悠子『飛ぶ孔雀』
4.筒井康隆『美藝公』
5.山野浩一『花と機械とゲシタルト』

海外短編
1.マイクル・ビショップ「宇宙飛行士とジプシー」
2.ジョン・ヴァーリイ「残像」
3.ジェフ・ライマン「オムニセクシュアル」
4.フリッツ・ライバー「ラン・チチ・チチ・タン」
5.ジョン・クロウリー「消えた」

国内短編
1.荒巻義雄「性炎樹の花咲くとき」
2.中井紀夫「山の上の交響楽」
3.小川一水「漂った男」
4.村田沙耶香「トリプル」
5.山本修雄「ウコンレオラ」

海外作家(順位なし)
〇テッド・チャン
〇J・G・バラード
〇サミュエル・ディレイニー
〇シオドア・スタージョン
〇サマンサ・ハーヴェイ

国内作家(順位なし)
〇筒井康隆
〇秋山瑞人
〇伊藤計劃
〇大滝和子
〇三五千波

【ゆるく情報募集】10月にソウルに行くのですが、本、アートなどに関連した(していなくても!)お店やスポット、イベントなどでおすすめのものがあれば教えていただけないでしょうか。ぜんぶは廻れないと思いますが、Your Mind, The book society, ain.books, strange books and cinema、(イ・ランとかかわりの深い)雨乃日珈琲店、前田エマさんの本で知ったセラミックのお店HairyBirdboxなどに寄りたいと思っています。

海外コミックスのブックカフェ書肆喫茶moriさんの海外マンガ情報誌『漫海』第4号、刊行が伸びて来月こそ出る予定だそうですが、台湾のアーティスト・A ee miのジェンダーSF『Platonic Love』(Paradice System、2023※繁体字からの英訳)について鈴木賢『台湾同性婚法の誕生 アジアLGBTQ+燈台への歴程』などと絡めた文章を寄稿しています。この作品も本当におすすめです。

おお、朗報ですね。本が出てアメリカでサイン会などをしていたなどは知っていたのですが、候補になったことは橋本さんの情報で知りました。しばらくは自分の同人誌の作業にかかりっきりで申し訳ないことにすぐには読了できないかもしれませんが、紹介される価値のある作家であると信じています。クラリオンのワークショップにもいたそうですね。

GRANTAに掲載された“Manifest”でも強く感じたが、女性の皮膚感覚、なかでも広義の違和感を掬い上げる手つきは卓越していると思う。体からはじめて母乳が流れ出る「光景」を主人公はほとんど他人事のように冷静に観察するが、本篇にあっては自分の身体とその外側との境界線は、つねに揺らいでやまないものとして描かれる。「自分のこのからだはほんとうに自分のものなの?」という感覚を一度でも抱いたことのある人にこそ読まれてほしい。

Nightmare Magazineに寄せた掌編“Things Boys Do”では赤ん坊はビクスビイ「きょうも上天気」やエムシュウィラー「ベビイ」にあらわれる〈恐ろしいこどもたち(アンファンテリブル)〉のように周囲の人間を破滅におとしいれる、あるいは混乱を意に介さず自身の愉楽を貪る無邪気な存在としてあった。けれども本作は悪夢的な結末のあるアイデアストーリーではない。勇敢なる自身の母親との交流、そして和解を前提としたパートナーとの小さくも重要な対話を通し、母としてのアイデンティティをゆるやかに獲得していく結尾に一級の文学と認められうる美点が存するといえる。(了)

The Best Short Stories 2022: The O. Henry Prize Winners(Anchor)より、Pemi Aguda“Breastmilk”。作者Pemi Agudaはナイジェリアの女性作家で、アフリカSFの年間傑作選に作品が採られながら国際文芸誌GRANTAにも登場、2022年にはいわゆる第一席は逃したもののO・ヘンリー賞も本篇で受賞という期待の新鋭。筆者はジェフ・ライマンのウェブ上の文章でこの作家のことをはじめに知った。

第一子を産んだばかりの、けれど自分の乳房から母乳が出てはくれない母親を主人公とし、母や子、パートナーをふくむ家族や病院関係者との関わりを繊細きわまりないタッチで描いていく。周囲の人間や世間が一方的に規定する「母親とはこうあるべき」という像に主人公が違和感を覚えていくさま、夫婦別姓を「許可」し、「ジェンダーに理解がある」と自分では考えているものの内実は抑圧的に振る舞うパートナーの存在。2010年代以降その勢いが明確に目に見えるようになってきた、「抑圧されてきた女性作家が声を上げる作品」の世界的な興隆、本篇もそうした大きな運動のなかで捉えたくなってしまう。(つづく)

それから、Pemi Agudaというナイジェリアの作家、短篇数篇を読んだだけで惚れ込んでいたのですが、先日出た初短篇集が全米図書賞の候補になったとのこと。本自体は申し訳ないことに読みおわっていないのですが、自分が読んだ作品はすべてこの本に収録されているようです。

うれしいニュースが立て続けに来ています。イギリスの作家、Samantha Harvey のOrbital(2023)というとてもおすすめの長篇があるのですが、先日発表されたブッカー賞のロングリスト、アーシュラ・K・ル=グィン賞のショートリストにそれぞれ名が挙がっています。The Times Literary Supplement のPodcastで興味を持ってなんとなく読んでみたのですが、ここまで話題になるとは(ただ、作中の日本表象に瑕瑾はあると思います)。

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