解説:AI規制を緩和。AI開発企業にとって都合がよい内容。デメリットは、著作権侵害、フェイクニュースやディープフェイクの拡大を食い止める効果も消えること。
(3) 宇宙における自由、繁栄、安全保障の拡大
共和党のリーダーシップの下、米国は地球近傍軌道に強固な製造業を創設し、米国人宇宙飛行士を月に送り、火星に向かわせ、急速に拡大する商業宇宙部門とのパートナーシップを強化し、宇宙へのアクセス、居住、アセット開発の能力に革命をもたらす。
解説:民間宇宙ビジネスを推進するイーロン・マスクやベゾスやボーイング社にとって都合がよい内容。予算配分(国が何をどこまで支援するのか)が気になるところ。
3項目とも、一握りの企業を優遇する内容といえる。
トランプ率いる共和党が、党大会で綱領を発表した。
そこには、経済政策/イノベーション政策として(1)暗号通貨、(2)AI、(3)宇宙開発の3分野が挙げられている。それぞれ内容を紹介する(機械翻訳による全訳+解説)。
https://cdn.nucleusfiles.com/be/beb1a388-1d88-4389-a67d-c1e2d7f8bedf/2024-gop-platform-july-7-final.pdf
暗号通貨
共和党は、民主党の非合法かつ非アメリカ的な暗号通貨取り締まりに終止符を打ち、中央銀行デジタル通貨の創設に反対する。私たちは、ビットコインをマイニングする権利を擁護し、すべてのアメリカ人がデジタル資産を自己管理し、政府の監視と管理から自由に取引する権利を持つことを保証する。
解説:バイデン政権は、金融規制と安全保障の観点から暗号通貨(あるいは仮想通貨、暗号資産)規制を強化してきたが、これを引っくりかえす。中央銀行デジタル通貨の導入は「個人の財産や取引の情報を国家の管理下に置くもの」として反対する。いわゆるクリプト企業にとって都合がよい内容。デメリットは、詐欺やマネロン/犯罪収益移転が増えるであろうということ。
(2) 人工知能(AI)
私たちは、AIイノベーションを妨げ、この技術の開発に急進的な左翼思想を押し付けるジョー・バイデンの危険な大統領令を廃止する。その代わりに共和党は言論の自由と人間の繁栄に根ざしたAI開発を支援する。
参考:
トヨタ不正問題に関する6月の記事。上記投稿で紹介した記事と同じく、自動車評論家の国沢光宏氏がトヨタを擁護する論陣を張っている。
「メディアをトヨタの味方につけて、国交省と交渉しよう」という作戦だろうか。しかし、業界トップのメーカーという強者がメディアに訴え世論を操作することで国交省に影響を与えようとしているのなら——メーカーとメディアとの関わり方として健全とは言えない。もっといいやり方があるはずだ。
トヨタなど5社の認証不正『国より厳しい基準で独自に試験』その意味をわかりやすく解説 評論家・国沢光宏さん「国交省と民間が言い争いするのではなく日本がどうやって栄えていくか考えるべき」
https://www.mbs.jp/news/feature/specialist/article/2024/06/100646.shtml
もし国交省がおかしいのなら、堂々と証拠を挙げてロジックを構築して批判すればいい。当てこすりや愚痴で対抗すべき局面ではない。
今回のトヨタ会長発言は、株主、顧客、従業員、取引先らにネガティブな材料として——「日本には強い企業が必要なのだから、多少の不正、不祥事は許されて当然である」といわんばかりの、道徳的真剣さを欠く独善的で誤ったメッセージとして受け取められるリスクを考慮していない。
もし「日本経済にトヨタが必要」なのだとして、それが不正問題を帳消しにすることはない。
もし「日本を出て行く」といった話題をメディアの前で漏らすことで世論を味方につけ国交省に対抗しようとしたのなら、非常に間違ったやり方だと評さざるをえない。
"豊田会長は不正発覚後の会見で、国の認証制度について時代に合わない基準や不明確なルールが多く現場に負担がかかっているとして、制度改善の必要性を主張するなど、国交省に逆らう"
"国交省はトヨタに対して厳しい姿勢"
"トヨタはいまだに(生産再開の)メドは立っておらず、国交省からイジメのような扱い"
この記事、トヨタ会長発言を擁護しようとして、結果的に後ろから弾を撃ってしまっている。
(3) 会長はどうするべきだったのか
企業のリスク管理の観点では、企業が不祥事、問題を起こしている局面で経営者が企業への追及を嫌がるかのような発言は悪手。
問題への批判を受け止め、株主、顧客、従業員、取引先らに「トヨタは問題に対して真剣に取り組んでいる」とメッセージを送ることが、不祥事に直面した経営者として最低限の務め。
トヨタの会長は高額の役員報酬(2024年3月期に16億2200万円)を得ているが、それは経営者として企業を守り支える振る舞いや発言に対する責任の対価でもあるのだ。
(4) 感想
記事から読み取れることは「トヨタ会長は不正問題で国交省との対決姿勢を見せ、両者の関係が悪化したこと」。だとすれば、経営者としての失点である。
(続く
引用元の投稿で紹介した朝日新聞の記事に対して、トヨタ会長発言を擁護する論調の記事が出ている。
https://fedibird.com/@AkioHoshi/112817589230211564
トヨタ会長、海外移転→日本脱出を示唆…国交省からのイジメ的行為に失望
https://biz-journal.jp/company/post_382372.html
なかなか興味深い内容なので紹介したい。まず、記事の「おかしな点」を見ていきたい。
(1) 記事のアジェンダ(議題の設定)がおかしい
"豊田会長の発言の真意は何か。また、もしトヨタが主要拠点を海外に移転させた場合、日本経済にどのような影響をおよぼすのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。"
いやいやいや……
今回はトヨタ会長の発言が失言として批判されているのだから、ここはまず「トヨタ会長は、どうするのが良かったのか」を論じる局面ではないだろうか。
(2) 対象読者の想定がおかしい
記事は、自動車業界とトヨタファンだけが読者であるかのような書き方。トヨタに中立あるいは批判的な一般読者がいることが、想像の範囲外にある。
記事の記述を見ていこう。
"不適切な点が発覚したのは6項目のみで、これは不正というよりは『ミス』"
"国交省が『不正』だとして騒いでメディアの報道に火をつけて、ことさらに事を大きく"
(続く [参照]
キーシンにロシア政府の圧力が。
ロシアにルーツをもつ芸術家の多くが、祖国を捨てるか、侵略戦争を遂行中の祖国に忠誠を誓うかの選択を迫られている。
"ロシア法務省は19日、ロシアのウクライナ侵攻に反対したなどとして、世界的に著名なロシアのピアニスト、エフゲニー・キーシン氏(52)をスパイとほぼ同義の「外国のエージェント(代理人)」に指定したと発表した。"
https://nordot.app/1187148808551842553
ハイカルチャーとサブカルチャーの狭間の話。
1968年9月に放映された「ウルトラセブン」最終話では、モロボシ・ダンがアンヌ隊員に正体を告白する場面でシューマンのピアノ協奏曲が流れ、視聴者に強烈な印象を残した。
下記の記事によれば演奏はピアノ ディヌ・リパッティ、カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団。
https://www.hmv.co.jp/en/news/article/1505270072/
記事には「冬木透氏は、不治の病のリパッティのあとのない切迫感が、素性を明かしM78星雲へ帰らねければならないダンの心境を表すのに、これ以上のものはないと選んだ」とある。
録音の2年後、リパッティは33歳で亡くなる。
音源のApple Musicリンク
https://music.apple.com/jp/album/piano-concerto-in-a-minor-op-54-i-allegro-affetuoso/1597181429?i=1597182051
古い音源なのだけれども、息をのんで聴き入ってしまう。たしかに「切迫感」という表現がふさわしい。
鈴木エイト氏、石丸伸二氏に「カルト問題取材者として一番危うさを感じた」…”反ワク票”が10万以上にも危機感「聴衆には幼い子も」
https://mag.minkabu.jp/politics-economy/26878/
都知事選2位の石丸伸二氏は「カルトや自己啓発セミナーなどの手法を採り入れている」「マルチの集会で聴くような語り口」
鈴木エイト氏は「カルト問題を長年取材してきた私にとって、今回の都知事選で最も危ういと感じたのは陰謀論系ではなく石丸伸二氏だったという結論になる」と記している。
政策論争に立ち入らず、自己アピールに終始したことが、石丸氏の支持につながったという見方がある。非合理的な個人のカリスマを政治に持ち込むことの危険性を私たちはよく知っている。鈴木エイト氏の警告を真剣に受け止めたい。
不正に揺れるトヨタ、会長「今の日本は頑張ろうという気になれない」:朝日新聞デジタル https://digital.asahi.com/articles/ASS7L26DCS7LULFA00WM.html?ptoken=01J37FKBAK5HY22T2Y16DWD5NK 7月21日
16:09まで全文閲読可能。
「今の日本は頑張ろうという気になれない」
「ジャパンラブの私が日本脱出を考えているのは本当に危ない」
「日本のサイレントマジョリティーは、自動車産業が世界で競争していることにものすごく感謝していると思う」
「業界の中の人にも感じるような、応援はぜひいただきたい」
「(報道陣は)強い者をたたくのが使命と思っているかもしれないが、強い者が居なかったら国は成り立たない。強い者の力をどう使うかを厳しい目で見るべきだ」
感想:これは、批判への耐性が乏しい企業人の脆弱性ではないだろうか。正当な批判を攻撃と受け止めてしまい、反省の弁を出すべきところを自己正当化を図ってしまう。
人種差別や植民地問題に関する正当な批判を耳にした白人が「自分たちが攻撃されてしまっている」と受け止めてしまうことを「白人の脆弱性」と呼ぶ。
その変形としてここでは「企業人の脆弱性」という言葉を使ってみた。米国のテクノロジー企業でも規制当局との対決姿勢が目立つが、その一つの背景といえる。
「左派はネオリベに政策論争で勝つため、規範論に加えて、帰結論も取り込もう」との提案。
規範論は、カントの義務論が代表。護憲、平和主義、人権擁護、格差是正など譲れない規範を唱える。
帰結論は、功利主義が代表。経済と相性がよい。
中野先生は日本の政治の文脈で話をしているが、そこから離れた私の意見。
国連の理念「平和と人権」は有無を言わせぬ規範。ただし米国やイスラエルやロシアは理念を嘲笑する。
一方、国連主導のイニシアチブであるSDGs(持続可能な開発目標)は、複数の数値目標へ向けて政策や投資を誘導する。経済の言葉で語れる点で、帰結論と親和性がある。
https://www.youtube.com/watch?v=qJiNJzCeTp4&feature=youtu.be
ローマ教皇フランシスコは7日、ポピュリスト政治と「イデオロギーのくず」と表現するものを非難し、世界の多くの地域で民主主義が不健全な状態にあると警告した。
“「安易な解決策にだまされないようにしよう。代わりに、共通の善に熱意を持とう」”
https://jp.reuters.com/world/us/7INAFHBPE5OYHHTRXQH3GJNYEQ-2024-07-08/
感想:
「共通善」はアリストテレスの用語です。
ローマ教皇の発言は、宗教的なメッセージと非宗教的なメッセージがはっきり区別されている。
非宗教的なメッセージでは、キリスト教ではなく、国際人権や倫理学のフレームを使っていることに注意(もちろんキリスト教に矛盾しない内容だが)。
国際人権と倫理学は世界の共通言語。
選挙戦を振り返って「蓮舫候補に欠けていたもの」をあえて探すならば——経済政策、成長戦略ではないでしょうか。
富の再配分は非常に重要ですが、同時に成長戦略を打ち出せていたら?
例えば、蓮舫候補の「神宮外苑再開発方針を都民の投票で決めよう」という主張は正当だと思います。ただし、それと同時に「現状の再開発案よりも、より人々が経済的に豊かになる案」を打ち出せていたなら? 現職の都知事が続投するよりも、人々がより「豊かになれる」と思えるビジョンを提示すれば、結果は違ったかもしれません。
SDGs(持続的な開発目標)は人権擁護と経済成長の両立を目指します。今後の政治では、富の再配分と、全員が豊かになることを両立させる発想が必要ではないかと考えています。
都知事選について。
「石丸候補がSNSで支持を集めた」という現象の研究が必要と感じました。
SNSといっても、影響力が大きかったのはTwitterよりもTikTokやYouTubeだった言われています。この見方が妥当かどうかも含め、研究を期待。維新の台頭、さらには世界的な極右の台頭とシンクロしている可能性も。
私自身は、今回は蓮舫候補を支持しました。若者への経済的支援、水道料金滞納による給水停止への異議申し立て(「停止より福祉につなげよう」)など、人権擁護の観点を明確に打ち出していたのは、蓮舫候補だけだったからです。
なので結果は残念ですが、同時に蓮舫候補の「諦めないでください」という言葉も受け止めたいと思います。
(続く
一連の映像の最新のものが、次の”Choreography Edit”です。Choreographyは「振付け」。つまりダンス=身体言語で歌を表現しているのです。
https://www.youtube.com/watch?v=uM7wN5bss6U&feature=youtu.be
Auroraのダンスは、他の歌手とは明らかに違って「自分の言葉を持った踊り」だと感じていましたが、そのことを明示的に表現しています。
ところで、シンガーソングライターによる「言葉を持ったダンス」というと、私はケイト・ブッシュが本気のコンテンポラリーダンスを踊る「Running Up That Hill (A Deal With God)」を思い出します。私にとっては、今回の映像はケイト・ブッシュいらいの驚きでした。
他の曲のAuroraのダンスも、身体言語としてとても面白いものです(もちろん音楽もすばらしいのですが)。ダンスに興味がある人はぜひご覧になってください。
ノルウェーのシンガーソングライターAuroraの新しい曲”Starvation”のプロモーションビデオは、各国語版が公開されています。これは歌詞の日本語訳を付けた映像です。
https://www.youtube.com/watch?v=ClV_0SmjL2E&feature=youtu.be
「この歌詞を多くの文化圏に伝えたい」という思いが伝わってきます。
一連の映像の最新のものが(続く
ITジャーナリストです。
仕事リスト:https://note.com/akiohoshi/n/nebac412b6c12