うちらの国の首相は、国連総会で何を喋ったのか?
報道の切り取りではよく分からない。全文にざっと目を通してみる。
https://gadebate.un.org/en/78/japan
岸田「私たちは、弱い立場の人々が安全で安心して暮らせる『人間の尊厳を大切にする世界』を目指すべき」
ふむふむ。良さそうな話をしてますな。
岸田「国際社会がいくつもの危機に直面し、分断が進んでいる今、私たちは皆の心に響く共通言語を必要としている。『人間の尊厳』に新たな光を当てることで、国際社会は体制や価値観の違いを乗り越え、『人間中心の国際協力』を着実に進めることができると信じている」
うーん?? 国際社会の共通言語といえば、平和と人権だ。それではもう響かない、と言いたいのか?
演説では"human dignity"(人間の尊厳)という言葉を13回も使っている。
気になるのは、人間の尊厳とは、要するに人権のことではないの? という疑問だ。世界人権宣言の前文は「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎である」と始まる。
一方でhuman rights(人権)は演説中で2カ所しか出てこない。
(続く
イーロン・マスク氏のTwitter/Xにスラップ訴訟されているヘイトスピーチ監視団体CCDH(デジタル・ヘイト対策センター)が、署名と募金を集めています。
https://act.counterhate.com/page/133255/petition/1?locale=en-GB
事例1
埼玉県の中学校。リストバンド端末で脈拍を計測、授業中の集中度を測定。教師はリアルタイムで、生徒は授業の後に見る。
事例2
滋賀県の小学校。カメラで頬の血管の血流を測定、感情を4種類に分類、教師の端末に表示。保護者が不同意の場合データは取らず。教員の負担が大きく今はデータ取得をやめている。
https://digital.asahi.com/articles/ASR9L6KRYR9LUTIL00F.html
専門家は「利用目的を外れて子どもの特徴を分析するようなことになれば、GDPRで禁止されている子どものプロファイリングにもつながる」「独立の監視機関や厳しい倫理審査が必要」と指摘。
感想:これも危ない。
個々人が不利益を被る可能性があるデータの使い方は倫理に反する。なのでEUでは禁止している。
AIの判断を参考に「保護しなかった」女児が死亡した事件の続報。
"国も三重県のようなシステムの開発を進めており、24年度から全国の児相で順次運用を開始する。こども家庭庁の担当者は「ただでさえ手いっぱいな児相の職員の負担を減らすことができれば」"
感想:危ない発想だ。機械学習に基づくAIの動作は統計的・確率的。ある割合で間違える。
そして機械に責任能力はない。「間違えるかもしれない判断の責任」は、人間でなければ引き受けられない。
EUは、人権に関わる事柄を機械処理で判断することをGDPR、AI法の両方で禁じている。
https://mainichi.jp/articles/20230915/k00/00m/040/304000c
最近、世界人権宣言を改めて読み直して気がついたこと。最後の第30条で、ひろゆきみたいな奴らにしっかり釘を差してた
たとえば、表現の自由戦士が主張する人権を侵害する表現の自由も第30条で「それ、前項の人権を侵してますよね」でひっくり返すから奴らの主張が通らないようになってる。それに気がついて感動してしまった
当たり前と思っていたことが言語化することできっちりわかるようになってて、改めて読み直して気づきが多かったので昔、読んだことがある人も読み直してみるといいかも
世界人権宣言テキスト | 国連広報センター: https://www.unic.or.jp/activities/humanrights/document/bill_of_rights/universal_declaration/
ようやく、政府要人から新型コロナ「第9波」の発言が出た。
加藤勝信厚生労働相は9月11日、大阪市内での講演で「『第9波』と言われているものが今回来ている」と述べた
https://digital.asahi.com/articles/ASR9C633SR9CUTFL010.html
政府分科会の尾身茂会長は6月26日時点で「第9波が始まっている可能性がある」と述べている。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/100404.html
だが政府からの注意喚起はなく、人々の認知は行き渡っていない。いくつかの都道府県や医師会が注意喚起しているが、全国ニュースにはならず露出が乏しかった。
2カ月半の空白は、多くの人々の健康、生命を脅かしている。
国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが、インターネット・SNS関連事業者6社に対し、ビジネスと人権への取り組みに関する質問状を送付。その結果を報告書にまとめ、本日公開した。
https://hrn.or.jp/news/24450/
ヒューマンライツ・ナウは、SNS企業など各社に人権チームの設置、人権デューデリジェンスの実施と透明性レポートの公開、人権救済窓口の設置、ステークホルダーとの対話、第三者機関の設置を求めている。
これは「ビジネスと人権」のスタンダードな取り組みだ。
率直に言って、日本のインターネット/SNS企業は、「人権」のフレームワークを扱う経験がまだ乏しいと思われる。日本企業は最初の接触で戸惑いもあったかもしれないが、今後の取り組み強化を期待したい。
そして米国企業の日本法人には、本社の取り組みと同水準の対応を期待したい。(なお今のX/Twitterは特殊な事例)
記者会見には当方も立ち会いましたが、人権問題Ⅱ取り組む弁護士の方々のコメントの精度、切実感に強い感銘を受けました。
報告書の終わりの方に、星が書いたコメントも収録されています。各社が積極的に人権問題に取り組み、先進的な企業であり続けてほしいと願っています。
ヘイトスピーチ監視団体のThe Center for Countering Digital Hate(
CCDH)は、指摘に逆ギレしたイーロン・マスク氏のX/Twitterに訴えられているが、ひるまず新たな報告書を発表した。
CCDHは、100のX/Twitterアカウントから、「人種混合を止めろ」と促す投稿や、黒人は本質的に暴力的であるというメッセージなど、憎悪的な内容を含む300件の投稿を収集。うち約140件には、ナチスの鉤十字の画像、ホロコースト否定を支持するメッセージ、ユダヤ人に関連する陰謀論を宣伝するメモなど、反ユダヤ主義的な内容が含まれていた。
CCDHは、8月30日と31日にこれらの投稿をXのユーザー報告ツールを使って報告。1週間後、Xが削除したのは41件で、259件は放置。報告した100アカウントのうち90は有効だった。
CNBCの記事
https://www.cnbc.com/2023/09/13/x-formerly-twitter-hate-speech-running-rampant-ccdh.html
CCDHの報告
https://counterhate.com/research/twitter-x-continues-to-host-posts-reported-for-extreme-hate-speech/
欧州委員会の連続ポスト。
「クリーン・トランジション・ダイアログを開催する」
「風力発電から製鉄まで」
「バッテリーからEV(電気自動車)まで」
言及している話題:
(中国製だけでなく)欧州のEV、欧州の農業の将来、欧州の労働市場の課題、欧州の中小企業の課題、欧州のスーパーコンピュータとAIの今後、そして欧州とアフリカ諸国との関係。
こういうBig Pictureを議論できることはEUの枠組みのいいところ。To Be(理想)を描いて、As Is(現状)をそこに近づける考え方だ。
逆に、世俗的な観点からは「我々の実情を知らないベルギーの官僚が勝手をいいやがって」的な反応も出てきがち。そうしたギャップの解決もEUの課題のうちだ。
https://social.network.europa.eu/@EU_Commission/111056616585491267 [参照]
ジャニーズ問題への各社の対応、9/12版
●起用せず
- 資生堂(週刊文春 2023年7月13日号報道)
- 東京海上日動火災保険
-日本航空
- アサヒGHD
- キリンHD
- サントリーHD
- 日産自動車(9/12発表)
- 日本マクドナルド(9/12)
- 第一三共ヘルスケア(9/12)
- 花王(9/12)
●検討中
- アフラック生命保険
- ライオン
- 明治
●起用する
- バスクリン
- サッポロHD
- 大正製薬
- モスフードサービス
https://fedibird.com/@AkioHoshi/111046494376736369 [参照]
ジャニーズ問題への各社の対応、9/11版
●起用せず
- 資生堂(週刊文春 2023年7月13日号報道)
- 東京海上日動火災保険
-日本航空
- アサヒGHD
- キリンHD
- サントリーHD(9/11方針転換)
●検討中
- アフラック生命保険:事務所を介さず契約など選択肢を求める
- ライオン:慎重に検討
- 花王
- 明治
●起用する
- バスクリン
- サッポロHD:契約の見直しや終了は考えていない。対策を注視
- 大正製薬:あくまでも故ジャニー喜多川氏(事務所)の問題
- モスフードサービス
https://fedibird.com/@AkioHoshi/111033167462115926 [参照]
ジャニーズ問題への対応、9/8版
●起用せず
- 東京海上日動火災保険
-日本航空
- 資生堂(週刊文春 2023年7月13日号報道)
- アサヒGHD(9/8方針転換)
- キリンHD 「今後は起用しない」(9/8方針転換)
●検討中
- アフラック生命保険:事務所を介さず契約など選択肢を求める
- ライオン:慎重に検討
- サントリーHD:精査し対応を考えたい
- 花王
- 明治
●起用する
- バスクリン:
- サッポロHD:契約の見直しや終了は考えていない。対策を注視
コメント:アサヒ、キリンが「対応せず」に転換。
https://digital.asahi.com/articles/ASR987JG0R98ULFA02Z.html
人権NGOのヒューマンライツ・ナウが、9/14(木) 14:00- より記者会見を行います。
(ご興味あるようでしたらご参加ください > プレス各位)
「日本のインターネット・SNS関連事業者に対するアンケート結果 ―各社の人権への取り組みは国際水準を下回り、 ユーザーを含む人々の人権保護にとって多くの課題を抱えている―」
日本のインターネット・SNS関連事業者に対して、ヒューマンライツ・ナウが人権状況に関するアンケート調査を行いました。その報告の記者会見です。
当方は、報告書に専門家コメントを寄せたご縁で、記者会見で末席に立ち会うこととなりました。
(当方のコメントはさておき)日本でのインターネット企業に対する人権NGOからのアクションはまだまだ乏しく、今回の調査は「インターネット×人権」の取り組みを進める機会を作る可能性がある取り組みかなと見ております。
上記情報のアップデート。
アサヒグループホールディングスが「今後は起用せず」と発表。
ジャニーズ事務所所属タレントとの現行の契約は満了をもって解除。
「ステークホルダーによる人権侵害を助長しないよう努めると定めたグループ人権方針に相反する」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC086550Y3A900C2000000/
ジャニーズ事務所へのスポンサーの対応(主に下記の時事通信記事より)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023090700841&g=eco
●起用せず
東京海上日動火災保険:ジャニーズ事務所との広告契約の解除を検討。「人権尊重の観点で、いかなる形態のハラスメントも認めない」
日本航空:タレント起用を当面見送る。「適切な対応がとられるのを確認」
資生堂:キムタク起用を白紙撤回報道(週刊文春 2023年7月13日号)
●様子見
キリンホールディングス:「対応については今後考える」
アサヒグループホールディングス:「起用の是非は今後検討する」
花王、明治:「今後の対応を注視」
●起用し続ける
バスクリン:「故ジャニー喜多川氏の問題」
"編集長交代劇の陰には、ある大富豪の存在がある。同紙を含むメディアグループの大株主となった投資会社を率いるバンサン・ボロレ氏(71)。海運事業のアフリカ利権で財を成し、2000年代初頭からメディア買収を開始。仏最大手の有料放送局カナルプリュスを中心とするメディア帝国を築いた。
メディア事情に詳しい社会学者エリック・ヌブー氏(71)は「当初は利益目的だったが、次第に自己の政治理念の追求に利用するようになった」と分析する。カトリック保守派を自認し、移民や性的少数者(LGBTQ)への強硬姿勢を貫くボロレ氏は、経営権を握ったメディアの記者との衝突を繰り返してきた。
中でも、カナルプリュス系ニュース専門テレビ局では16年、記者らがボロレ氏に近い編集幹部就任に抵抗し30日超のストを決行。多数の離職者を出した末に右派色を強めた。"
フランスの有力週刊紙が「極右編集長」就任めぐり40日間のスト、記者が一斉離職…背景には億万長者のメディア支配:東京新聞 TOKYO Web https://www.tokyo-np.co.jp/article/274751
急落を続けていた内閣支持率が、8月末から上昇、32.2%に。
急落を続けていた理由は、マイナ保険証のトラブル、物価高と増税が大きいだろう。一方、新型コロナに関しては情報を統制し政権へのダメージを抑制した(注)。
対して、支持率が最近になって上昇した理由として考えられるのは、8/24の福島第1原発ALPS処理水放出をめぐり反発した中国に対し対決姿勢を示したことではないか。
(注)新型コロナは、もっか過去最大の流行となる第9波が来ている。だが政府発表はなく全国ニュースにならず、都道府県単位のニュースにとどまっている。5類への変更と脱マスクで、新型コロナをい「なかったこと」にし、政権へのダメージを抑制した。まともに情報を出し対策を取っていたら支持率はさらに下がっただろうが、だからといって、情報を抑制し対策を取らないことは倫理的に間違っている。合成の誤謬という奴だ。
感想:情報を統制し、他国と険悪になることで、支持率を上げた可能性が高い。この路線を突き進むと、その先は非常に危険な領域となる。
WSJのスクープ。米連邦取引委員会(FTC)は、Amazonを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで9月下旬にも提訴する見通し。
同委員会はここ数年にわたり、Amazonが自社プラットフォームで競合他社よりも自社製品を優遇している可能性を調査していた。8/15の会合でアマゾン法務部は具体的な譲歩案を提示しなかった。
https://jp.wsj.com/articles/ftc-antitrust-suit-against-amazon-set-for-later-this-month-after-meeting-fails-to-resolve-impasse-e9420bd3
感想:来るべきものが来た。Googleも複数の大型訴訟を抱えている。
巨大プラットフォーム企業は、社会的責任を問われる時期に来ている。
●間違いがありました
「ユダヤ人代替の圧力」→「ユダヤ人団体の圧力」
ヘイトスピーチ管理団体→ヘイトスピーチ監視団体
マスク氏の投稿(2)のURLを訂正
https://twitter.com/elonmusk/status/1698754179148214495
●情報の追加
順番が前後するが、発言(3)の前のマスク氏投稿を追加。広告落ち込みの原因はADLだと主張。
(2b) 私たちの米国での広告収入は、主にADLによる広告主への圧力が原因で、まだ60%減少している(これは広告主が私たちに言っていることだ)!
(午前2:52 · 2023年9月5日)
https://twitter.com/elonmusk/status/1698755938541330907
●結び
Twitter(X)のヘイトスピーチ放置問題は深刻だ。例えば2023年1月、「反ユダヤ言説を放置した」としてドイツの市民団体がTwitterを訴えている。ドイツではヘイトスピーチ放置は厳罰。
だが、ヘイトスピーチ放置の事実をマスク氏率いるX(Twitter)は認めず「買収前より安全になった」と空虚な説明を繰り返している。
事実と正当性を無視し、自分たちの都合と刹那的な気分を優先。今後のX(Twitter)の不透明感は強い。
ITジャーナリストです。
仕事リスト:https://note.com/akiohoshi/n/nebac412b6c12