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読書備忘録『ルネサンスの文学』 

*講談社学術文庫(2007)
*清水孝純(著)
中世以降の西欧文学を解説するルネサンス文学の入門書。『ドン・キホーテ』などの名作を筆頭に、新時代を象徴する名著とその歴史的背景に迫る。それにしてもルネサンスとは何なのか。一四世紀から一六世紀までの西欧諸国で興隆したルネサンスは、古典時代の復興を目指するとともに封建制に支配されていた人間性の解放を求めた運動である、などと教科書的に説明するのは簡単だけれど、実のところルネサンスとは多義的で定義付けるのが難しい。古典時代の文化復興運動だけではなく、復興期自体をルネサンスということがある点も複雑化に拍車をかけている。人間解放という欲求は封建社会の全盛期にも存在していて、古典文化の復興運動自体はイタリア文芸復興運動以前におこなわれていたようである。実際中世文学からの過渡期には、中世的原理とルネサンス的思想を兼ねている『神曲』を始め、人間喜劇である『デカメロン』『カンタベリー物語』など、反骨精神の萌芽を読み取れる作品が書かれていた。ブルクハルトのいう人間と世界の発見とは、彼の推察以上に早く達成されていたのかも知れない。

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